「モデムが今日もけたたましい音を立てて,アクセスポイントと認証を繰り返す「220 User XXX」。僕はそのモデム音に情動し,性欲をかき立てられる「230 Password required for XXX」。ピ〜〜〜ッ「PASS」,ガガ〜〜〜,消尽「230 User XXX logged in」。情念と猥雑の狭間「200 PORT command successful.」。
21回目の『アルス・エレクトロニカ・フェスティバル』で,2日間にわたる「次世代のセックス」シンポジウムが開かれた。サイバーセックスに依存している人たちに,社会学は役に立たない。そして,サイバーセックスはすでに現実の代用とするにはあまりにも広がりすぎており,それはすでにひとつの現実なのだ。また,普通でない性的嗜好を持った人たちには,快適な場所を与えている。
記事中に,「インターネット上のトラフィックの80%は,セックス関係の話題が占めている」とある。それが本当かどうかは知らないか,あながち間違いでもないだろう。数年前には,ネットで取引されているお金の9割はアダルトサイトによるものだと云われた。その割合は減っているだろうが,全体のパイは格段に増えているだろうし…。また,セクシャルのマイノリティーの場としての優位性も,以前として大きいものだろう(過去記事)。
「人間の行動はすべて,その欲望に基づいている」。いや,もうそれは「すべて」。たとえばアーティスティックなものであろうと,はたまた経済であろうと,政治であろうと,稼働車輪のひとつはいつもセクシャルなものだ。ネットワークとて同じこと。人間の行動原理はどこも変わらない。そして,今後も変わらない。モデムのUPSTREAMアクセスランプの灯火が,今日も性欲をかき立てる。
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